常連客の定義が変わった?現代の「上客」を見極める新基準
常連客の定義が変わる時代。来店頻度や金額だけでは測れない、本当の「上客」を見極める5つの新しい基準とは?最新の顧客理解戦略をご紹介します。
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- 現代の上客を識別する5つの新基準
- 基準1|NPS®で測る感情的つながり
- 基準2|LTVから見る真の顧客価値
- 基準3|SNSエンゲージメントの質的評価
- 基準4|データ協力意欲という新指標
- 基準5|口コミ波及力の可視化
- 5つの基準の相互関係と総合評価
- Eats365で顧客との関係を深め、ビジネスを成長させましょう
- 常連客に関するFAQs
- 常連客の新しい評価基準とは何ですか?
- NPSで常連客の感情的つながりはどう測れますか?
- LTVは常連客評価にどう活用できますか?
- Eats365は常連客管理にどのように役立ちますか?
- Eats365でSNSエンゲージメントや口コミ波及力を活かせますか?
- データ協力度とは何で、なぜ常連客評価に重要ですか?
現代の上客を識別する5つの新基準
この記事では、これまでの「来店頻度や金額」だけで常連さんや「上客」を判断するやり方から一歩進んで、「真のお得意様」を見つけるための5つの新しい基準について、じっくりお話ししていきます。それぞれの基準がどんな風に測れて、どんな良い活用例があるのか、そして日々の業務にどう役立てるか、具体的なヒントもたっぷりご紹介しますね。
基準1|NPS®で測る感情的つながり
NPS(Net Promoter Score)は、「このお店を友人や同僚にどれくらいおすすめしたいですか?」という、とってもシンプルな質問で、お客様のあなたのお店への愛着や信頼を0から10の11段階で測る指標です。お客様の答えは「推奨者」(9~10点)、「中立者」(7~8点)、「批判者」(0~6点)の3タイプに分けられ、NPSは「推奨者の割合(%)から批判者の割合(%)」を引いて算出されます。
お店を「おすすめしたい」と思ってくれる推奨者は、あなたのサービスを心から愛用し、周りの人にも積極的に広めてくれますよね。一方で「もう来たくない」という批判者は、残念ながらネガティブな口コミを広める可能性があります。そして「どちらでもない」という中立者は、少しのきっかけで競合店に移ってしまうこともあるので、この層の動向も決して侮れません。
NTTコム リサーチの調査では、従来の「顧客満足度」だけを測る方法だと、「満足度は高いのに、なぜかお店の業績は上がらない」という悩みがずっとありました。NPSがすごいのは、これまでの来店頻度や購入金額では決して見えなかった「お店への愛着」や「お客様との信頼関係」を、はっきりと数字として可視化できる点にあります。
NPS調査をするときは、お会計時にアンケートを配ったり、次回来店時に使えるクーポンを渡したりして、たくさんのお客様に答えてもらえるよう工夫すると良いでしょう。定期的に調査を行い、あなたのお店の「基準点」を見つけて、そこからどう改善していくか計画を立てることが、お店の売上をしっかり支える基盤づくりにつながります。例えば、100人のお客様に聞いたら、批判者が60人、中立者が20人、推奨者が20人だったとしましょう。この場合、NPSは-40になりますね。これは「まだまだ改善の余地があるぞ!」という明確なサインで、サービスの質を上げることに集中すべきだと分かります。
NPSだけでなく、C-SAT(顧客満足度調査)やCES(顧客努力スコア)、CRR(顧客維持率)といった他の指標を一緒に使うと、お客様のロイヤルティをもっと多角的に見ることができます。また、DWB(Definitely Would Buy)指標では、「ぜひ買ってみたい!」と答えたお客様の割合を見ることで、購入意欲の強さを測ることもできますよ。
基準2|LTVから見る真の顧客価値
LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)は、お客様があなたのお店と最初に出会ってから、最後にお取引が終わるまでに、どれくらいの利益をもたらしてくれるかを総合的に見る指標です。基本の計算式は以下の通りです。
LTV = 平均顧客単価 × 収益率 × 購買頻度 × 継続期間
例えば、SMBCの例を見てみましょう。平均顧客単価が40万円、収益率が50%、月に0.5回(年間6回)来店し、それが5年間続くとすると、LTVは60万円になります。もっと現実的なLTVを知るには、お客様を獲得したり、関係を維持したりするのにかかった費用を差し引いて考える必要があります。
実質LTV = 基本LTV - (新規顧客獲得コスト + 既存顧客維持コスト)
今の時代、新しいお客様を獲得するのはますます難しくなっていますよね。だからこそ、今いるお客様の価値をきちんと評価して、どこにマーケティング費用をかけるべきか、賢く判断するためにLTVはとても大切です。LTVが分かれば、「新しいお客様を一人獲得するのに、いくらまでなら費用をかけられるか(CPA)」という上限値を知ることができ、マーケティング投資が実を結ぶかを判断するのにも役立ちます。昔ながらの「よく来てくれるお客様=上客」という考え方だけだと、そのお客様の要望がどんどん膨らんでしまって、かえってお店の収益を圧迫するリスクも。LTVで評価することで、長期的な視点でお客様との関係を築くことに焦点を当てることができます。
飲食業界でLTVを測るなら、来店頻度や注文回数、デリバリーの利用など、様々なお客様との接点をまとめて考えるのがポイントです。時間帯、曜日、季節によってお客様がお支払いになる平均金額が変わることもありますし、「しばらくお店に来ていないお客様」をどう定義するか、など、業界ならではの特性を踏まえて測る必要があります。こうしたLTVのデータは、リピーターを増やすための施策を優先順位付けしたり、ポイントプログラムの効果を測ったり、デリバリーアプリの手数料がお店にとって適正かどうかを判断したりするのにも活用できますよ。
基準3|SNSエンゲージメントの質的評価
エンゲージメントの質、とは「いいね!」の数だけを見るのではなく、お客様からの反応が「どれだけ中身のあるものか」を評価することです。SNSのアルゴリズムは、ただの「いいね!」よりも、お客様からのコメントや投稿の保存、つまり「後で見返したい」と思われた回数を高く評価する傾向があります。コメントの量や内容の深さ、保存された回数が、今ではとても大切な指標になっていますね。
最近のお客様は、知りたい情報をGoogleで検索するよりも(「ググる」)、InstagramやTikTokを使って実際の口コミを探す(「タグる」)傾向が強まっていて、動画を見てからわずか数分で「これ買おう!」と決めてしまうケースが、かなり増えています。
凸版印刷さんによると、SNSごとにエンゲージメント率の計算方法が少し異なります。
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X(旧Twitter): エンゲージメント総数 ÷ インプレッション数 × 100
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Facebook: エンゲージメント総数 ÷ 投稿がリーチしたユーザー数 × 100
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Instagram: エンゲージメント総数 ÷ フォロワー数 × 100
エンゲージメント率は、「投稿コンテンツの質」を示す大切な指標です。フォロワー数はお店やブランドの「量」としての広がりを測るものですが、エンゲージメント率は、どれだけたくさんのお客様がその投稿に心を動かされ、反応してくれたかを測ります。J-Stageの研究では、Facebookでの「いいね!」よりも、「友達が本当にそのブランドを好きだ」と感じられる情報の方が、お客様の購入を促す効果が高いことが明らかになっています。つまり、お客様はただ多くの人に「いいね!」されているから、という表面的な情報だけでなく、その情報の質や、それが「本当のこと」かどうかを重視して判断しているんですね。
基準4|データ協力意欲という新指標
データ協力度とは、お客様が「会員登録してもいいよ」「アンケートに答えるね」「メールを受け取るよ」「位置情報を提供しても大丈夫」といった形で、お店に自らデータを提供したいと思ってくれる気持ちの度合いのことです。これは、お客様があなたのお店と長く良い関係を築きたいと望んでいるかどうかの、大切なサインと言えるでしょう。
デジタルの世界でお店を成長させていくには、ファーストパーティデータ、つまりお店がお客様から直接集めたデータをどう活かすかが非常に大切になります。お店が独自に集めたデータを使うことで、一人ひとりのお客様をもっと深く理解し、そのお客様にぴったりのパーソナライズされた情報やサービスを提供できるようになります。
データ協力度を測るには、以下のような項目を見ていくと良いでしょう。
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会員登録率(お店に訪れたお客様のうち、何%が会員登録してくれたか)
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プロフィール完成度(基本情報だけでなく、好きなものなど、どれくらい詳しく入力してくれたか)
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アンケート回答率(お願いしたアンケートに、どれくらいのお客様が答えてくれたか)
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プロモーション配信への同意率(お店からの情報を受け取ることに、どれくらいのお客様が同意してくれたか)
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アプリ通知の許可率(お店のアプリからの通知を、どれくらいのお客様が許可してくれたか)
また、「最小特権の原則(PoLP)」といって、お店のスタッフが業務に必要な最小限のデータだけを見られるようにする、と決めておくことで、情報が漏えいするリスクも最小限に抑えることができます。
基準5|口コミ波及力の可視化
お客様の影響力とは、「ある一人の顧客が、その周りのまだあなたのお店を知らないお客様に、どれくらいの影響を与えることができるか」という大きさのことです。SNSでのフォロワーの数や、投稿がどれくらい拡散されたか、また、直接人に話して広まる「リアルな口コミ」の効果など、数字で測れる部分と、数字では測りにくい部分の両方から評価します。
SIPS行動モデルという考え方では、SNS時代のお客様は、何かを知るとまず「良いな」(共感)と感じ、次に「本当に良いのかな」(確認)と調べ、実際に「試してみて」(参加)、最後に「これは良い!」と「周りに広める」(共有・拡散)という流れで動きます。この「確認」の段階で、お客様は自分で能動的に情報を吟味する傾向が強まっています。
お客様の影響力を直接的に測るデータは少ないため、以下のような間接的な指標を組み合わせて見ていくと良いでしょう。
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SNS上の影響力: フォロワーの数、投稿への反応率、シェアやリツイートの数
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紹介による来店: 「〇〇さんの紹介で来ました」と言ってくれる新規のお客様の数
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口コミサイトでの投稿: 口コミの投稿頻度、写真のクオリティ、レビューの内容の詳しさ
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コミュニティでの活動: いつも来てくれる常連さんが、新しいお客様を連れてきてくれる頻度
本当にあなたのお店を愛してくれるロイヤルカスタマーは、お店にとって一番大切なお客様です。お店の安定した売上を支えるだけでなく、新しいお客様を連れてきてくれたり、新しいメニュー開発で貴重な意見をくれたりする、かけがえのないパートナーでもあります。
さらに、もしお店にとって大変なことが起きた時も、ロイヤルカスタマーは強力な味方となり、お店のブランドが立ち直る力(レジリエンス)を高めてくれる存在です。実際に、すかいらーくホールディングスでは、オンラインコミュニティを通じて、これまでは3ヶ月もかかっていた「お客様の知りたいこと」をリアルタイムで把握できるようになり、お店の意思決定が格段に速くなりました。
5つの基準の相互関係と総合評価
ご紹介したこれら5つの基準は、それぞれが密接につながっています。例えば、NPSが高いお客様は、大抵の場合LTVも高く、SNSでも積極的にお店のことを発信してくれたり、快くデータを提供してくれたり、そして周りにもお店の良さを広めてくれる影響力も持っている、という傾向があります。もちろん、全てのお客様が全ての基準で満点である必要はありません。ある特定の基準で抜きん出ているお客様も、立派な「上客」として大切にすべきですね。
| 評価軸 | 従来基準 | 新基準 | 変化の本質 |
|---|---|---|---|
| 主要指標 | 来店頻度・購入金額 | NPS・LTV・エンゲージメント | 量から質へ |
| 時間軸 | 過去実績 | 未来価値予測 | 後追いから先読みへ |
| 関係性 | 取引関係 | 感情的つながり | 機能から情緒へ |
| 評価範囲 | 店内行動のみ | オンライン・オフライン統合 | 閉鎖系から開放系へ |
| アクション | 来店促進 | 関係性育成 | 短期から長期へ |
これまでの「よく来てくれるお客様はみんな上客」という考え方だと、「無理な要求が増える」「お店の収益を圧迫する」といった課題が出てくることもありました。しかし、今回お話しした5つの新しい基準を使うことで、お客様の本当の価値を多角的に、そして深く理解できるようになります。これからのお店づくりに、ぜひ活かしてみてくださいね。
Eats365で顧客との関係を深め、ビジネスを成長させましょう
現代のレストラン経営においては、単なる来店頻度や購入金額だけでなく、NPS®、LTV、SNSエンゲージメント、データ協力意欲、口コミ波及力といった多角的な視点でお客様を理解することが重要です。Eats365のPOSシステムは、これらのデータ分析をサポートし、お客様一人ひとりの真の価値を把握するのに役立ちます。これにより、よりパーソナライズされたサービス提供や効果的なマーケティング戦略が可能になり、顧客との長期的な信頼関係を築き、レストランビジネスの持続的な成長へと繋げることができるでしょう。ぜひEats365にご相談ください。
常連客に関するFAQs
常連客の新しい評価基準とは何ですか?
A: 常連客の評価は来店頻度や購入金額だけでなく、NPS(推奨度)、LTV(顧客生涯価値)、SNSエンゲージメントの質、データ協力度、口コミ波及力の5つの新しい基準で多角的に行います。これにより真のロイヤルカスタマーを見極め、長期的な関係性を築くことができます。
NPSで常連客の感情的つながりはどう測れますか?
A: NPSは「友人に薦めたいか」を0~10点で評価し、9~10点の推奨者と0~6点の批判者の比率差を算出します。推奨者が多いほどお店への愛着や信頼が高く、顧客ロイヤルティとして重要視されます。定期的な調査で改善点も把握可能です。
LTVは常連客評価にどう活用できますか?
A: LTVは顧客が生涯に渡りもたらす利益を示し、単価×収益率×購買頻度×継続期間で計算。新規獲得や維持コストを差し引いた実質LTVで、マーケティング投資の効果を判断し、収益性の高い常連客を見極めるために使います。
Eats365は常連客管理にどのように役立ちますか?
A: Eats365のPOSシステムは来店データや購買履歴を一元管理し、常連客のLTV算出やNPS調査連携をサポート。顧客の行動分析を容易にし、質の高い顧客関係構築や効果的なマーケティング施策の立案を助けます。
Eats365でSNSエンゲージメントや口コミ波及力を活かせますか?
A: Eats365はSNS連携や口コミの反応を分析する機能を提供し、お客様のエンゲージメントの質や影響力を測定可能。これにより、特に影響力のある常連客を特定し、アンバサダー施策や顧客満足度向上に役立てられます。
データ協力度とは何で、なぜ常連客評価に重要ですか?
A: データ協力度はお客様が会員登録やアンケート回答などで自発的に情報提供する意欲の度合い。高い協力度はお店との信頼関係を示し、深いパーソナライズや効果的なコミュニケーションに繋がるため、現代の常連客評価に欠かせません。